刑事訴訟法の改正案
正式名:刑事訴訟法の一部を改正する法律案
この法律案は衆議院で否決され、成立していません。
再審の請求の手続について、裁判官の除斥・忌避、期日の指定、検察官保管証拠等の開示命令、再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止などを定めようとした法律案。
主な内容
- 裁判官の除斥・忌避の事由に、再審または再審請求の手続について、その被告事件の裁判またはその基礎となった取調べに関与したときを追加するとしていた。
- 再審の請求を受けた裁判所は、再審請求人等の申立てまたは職権で手続の期日を指定・変更でき、検察官を出席させることができ、期日を再審請求人等と検察官に通知するとしていた。期日では裁判長が手続を指揮し、調書を電磁的記録で作成してファイルに記録するとしていた。
- 再審の請求を受けた裁判所は、検察官保管証拠等で再審請求の理由に関連するものについて、再審請求人等から開示の請求があれば、請求が不適法なとき、理由がないことが明らかなとき、相当でないと認めるときを除き、検察官に開示を命じなければならないとしていた。決定の際は検察官の意見を聴き、決定には即時抗告ができるとしていた。職権による開示命令もできるとしていた。
- 裁判所は、開示命令の決定に当たり必要なときは、検察官に検察官保管証拠等や、裁判所の指定する範囲の証拠の標目の一覧表の提示を命じることができるとしていた。その場合、何人にも閲覧・謄写をさせることはできないとしていた。
- 再審開始の決定に対し、検察官は即時抗告、異議の申立て、特別抗告をすることができないとしていた。
- 新法の規定は、施行の際に係属している再審と再審請求の手続にも適用するとしていた。政府は施行後3年を目途に、捜査機関が作成した書類・収集した証拠物の目録の作成・保存の在り方、再審の請求をしようとする者への開示の在り方等を検討するとし、関係法律の整備は別に法律で定めるとしていた。成立していれば、公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日から施行する内容だった。
なぜ出されたか
提出した西村智奈美議員ほか3名は、再審制度によって冤罪の被害者を適正かつ迅速に救済し、基本的人権の保障を全うするため、再審請求に係る事件の裁判に関与した裁判官の除斥・忌避、検察官保管証拠等の開示命令等を定めるとともに、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを認めないこととする必要があるためとしていた。
だれに関係するか
再審請求人等とその弁護人、再審の請求を受ける裁判所及び裁判官、証拠の開示を命じられ、再審開始決定への不服申し立てができなくなる検察官を対象とする法律案だった。
国会での議論
衆議院法務委員会で、内閣提出の刑事訴訟法改正案とあわせて審査された。参考人からの意見聴取や高市内閣総理大臣に対する質疑が行われ、両法律案などを一括して討論した後の採決で、本法律案は賛成少数で否決すべきものと決した。
- 【賛成】中道改革連合・無所属:中道改革連合・無所属は、本法律案が超党派議員連盟の要綱案を踏まえ、幅広い証拠開示や検察官の不服申し立ての全面禁止を定めるもので、検察の運用に委ねず立法事実に基づく規律を明確に制度化し、冤罪被害者の声に応えるものだとして賛成した。
- 【反対】自由民主党・無所属の会:自由民主党・無所属の会は、本法律案について考えを異にするとして反対した。内閣提出案については、検察官の不服申し立てを全面禁止ではなく原則禁止とすることで、法的安定性と誤判からの迅速な救済の二つの要請を調和させるものだと述べた。
- 【反対】国民民主党・無所属クラブ:国民民主党・無所属クラブは、委員会の討論で本法律案に反対した。本法律案への反対の理由は述べず、内閣提出案と与党などの修正案にも反対したうえで、証拠開示のあるべき姿を示した同党独自の修正案の成立を求めた。
- 【反対】参政党:参政党は、本法律案について、超党派議員連盟案が基になっている内容を高く評価しながらも反対した。再審請求者の手続き保障を一歩でも前に進めるため与党と修正協議を行い、修正が成った内閣提出案に賛成する立場をとった。
会派ごとの賛否(衆議院 2026年6月16日)
賛成:中道改革連合・無所属、チームみらい、日本共産党
反対:自由民主党・無所属の会、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党
出典
- 衆議院 議案要綱(第221回国会 衆法第9号)
- 衆議院 議案審議経過情報(第221回国会 衆法第9号)
- 衆議院 議案本文情報(第221回国会(特別会) 衆法第9号・提出時の法律案の理由)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-06-16・井上英孝委員長の報告)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-06-16・平林晃議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 法務委員会 2026-06-12・平林晃議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-06-16・神田潤一議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-06-16・井戸まさえ議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 法務委員会 2026-06-12・小竹凱議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-06-16・和田政宗議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 法務委員会 2026-06-12・和田政宗議員の討論)
更新の記録
- 2026年11月2日 更新:「なぜ出されたか」「だれに関係するか」「国会での議論」を足しました(国会会議録と法律案の理由をもとに、AIが書き、別の会社のAIとプログラムで確かめました)。