国家社会機能継続性確保・副首都整備推進法
正式名:国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律
大規模災害に備え、首都中枢機能代替地域と副首都の指定、基本方針、推進本部等を定める法律。
主な内容
- 東京圏との同時被災の可能性が低いことを要件に、大規模災害時に首都中枢機能の一部を代替する首都中枢機能代替地域と、全部又は大部分を代替し多極分散型経済圏の中核を担う道府県である副首都を設ける。
- 政府は基本方針を策定し、基本理念(人口・機能の分散的配置、首都中枢機能のバックアップ、BCP支援等)に対応した基本的施策を定める。内閣総理大臣は要件を定め副首都を指定し、総理を本部長とする推進本部を内閣に置く。政府は毎年の実施状況等を国会に報告する。
- 特別区を設ける道府県である副首都の名称を「都」に変更する手続を定めるため大都市地域特別区設置法を改正する。衆議院本会議では修正議決された。
- 施行は公布日から起算して3箇月以内で政令で定める日。
なぜ出されたか
提出した議員は、大規模災害に備え、副首都の整備に係る施策その他の国家社会機能継続性確保施策について、基本理念を定めて国の責務等を明らかにし、基本方針の策定など基本となる事項と副首都の指定等を定めるとともに、推進本部を設置することなどにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進する必要があるためとしている。
だれに関係するか
基本方針を策定し毎年の実施状況等を国会に報告する政府、副首都の要件を定めて指定し推進本部の本部長となる内閣総理大臣、要件に該当する地域を含み副首都に指定されうる道府県、名称を「都」に変更する手続が定められる、特別区を設ける道府県である副首都が関係する。
国会での議論
衆議院では地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会に6月26日に付託され、30日に提出者の簗和生氏から趣旨説明を聴取して質疑に入った。7月9日に付託された西岡義高氏らの大都市地域における特別区の設置に関する法律改正案とあわせ、13日から質疑を行った。自由民主党・無所属の会、日本維新の会、チームみらいが、基本理念と基本的施策の例示に情報通信技術の活用等を追加し、国会への報告の規定を加える修正案を共同提出した。討論の後の採決で、西岡氏らの法律案は賛成少数で否決すべきものとし、本法律案は修正案と修正部分を除く原案がいずれも賛成多数で可決され、修正議決すべきものと決した。参議院の沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会では、特別市の設置に係る制度の整備の推進に関する法律案も一括して議題とし、総務委員会との連合審査会や参考人からの意見聴取を行った。首都中枢機能の維持と多極分散型経済圏の形成の両立、副首都の指定要件の具体的内容と客観性の確保、指定と基本方針の策定との関係、都への名称変更を可能とすることの妥当性、整備のコストと財源、南海トラフ地震や安全保障面の考慮の必要性などが質疑された。討論の後の採決で、多数で原案どおり可決すべきものと決定し、附帯決議が付された。
- 【賛成】日本維新の会:日本維新の会は、首都直下地震などの大規模災害に備え、首都中枢機能を代替する副首都をあらかじめ整備する必要があること、危機管理と多極分散型経済圏の形成による経済成長を一体で進められること、道府県が議会の議決を経て自ら申し出る地方分権の仕組みであることを理由に賛成した。
- 【賛成】チームみらい:チームみらいは、首都直下地震の切迫性から、首都中枢機能の代替性の確保と多極分散型の国土形成を先送りすべきでないこと、修正により災害時のデータ保全などデジタル行政基盤の整備の観点が反映されたこと、政府が実施状況を毎年国会に報告し成果を検証する仕組みが整えられたことを理由に賛成した。
- 【反対】中道改革連合・無所属:中道改革連合・無所属は、副首都の指定や基本方針、指定要件に国会が関与できず審議も拙速であること、整備に必要な費用や財源の見通しが示されず、複数指定で同様のインフラ整備が重複しかねないこと、特別区の要件や都への名称変更が大阪都構想と結びついているとの疑問があることを理由に、原案と修正案に反対した。
- 【反対】国民民主党・無所属クラブ:国民民主党・無所属クラブは、危機管理や安全保障の視点より大阪都構想と一体化した特定の地域制度改革の意図が強く反映されていること、首都と副首都の定義が曖昧なこと、巨額の財政負担の見通しが示されず、複数指定で二重三重の行政投資を招きかねないことを理由に反対した。
- 【反対】参政党:参政党は、危機管理と地域経済政策という目的の異なる政策が一つの制度に混在していること、指定要件の核心が政令に委ねられ、南海トラフ地震などの災害リスクを科学的に比較した選定になっていないこと、必要な公費が示されないまま大阪の構想と重なる内容になっていることを理由に反対した。
- 【反対】日本共産党:日本共産党は、住民投票で二度否決された大阪都構想を副首都指定で実現させようとするものであること、大規模開発やインフラ整備を国費投入や税制優遇、規制緩和で推進するものであること、特定の自治体に優遇措置を集中させ他の自治体に協力を求めることが地方自治制度をゆがめることを理由に、原案と修正案に反対した。
- 【反対】立憲民主・無所属:立憲民主・無所属は、指定要件が大阪を念頭に置いた制度設計で公平性に疑問があること、南海トラフ地震を想定しておらず災害時のバックアップ機能の実効性が不十分なこと、東京一極集中の解消につながるか不透明なまま多額の国費が必要になりうるのに費用対効果が示されていないことを理由に反対した。
- 【反対】国民民主党・新緑風会:国民民主党・新緑風会は、同党が求める特別市の検討条項が附則に盛り込まれず大都市制度の選択肢が示されていないこと、基本方針の策定前に副首都を指定できること、都への名称変更だけを規定し、福岡から要望のある府への名称変更の規定がないことを理由に、副首都法案に反対した。
- 【反対】公明党:公明党は、指定要件や基本方針を政府が定め国会の関与が極めて限定的で、基本方針の策定前に副首都を指定できるなど手続が不透明であること、副首都整備に必要な財政負担が示されていないこと、都への名称変更を特別区を包括する副首都に限っていることを理由に、副首都法案に反対した。
会派ごとの賛否(参議院 2026年7月24日)
賛成 123票・反対 121票
| 会派 | 所属 | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|---|
| 自由民主党・無所属の会 | 101 | 99 | 0 |
| 立憲民主・無所属 | 40 | 0 | 40 |
| 国民民主党・新緑風会 | 25 | 0 | 25 |
| 公明党 | 21 | 0 | 21 |
| 日本維新の会 | 19 | 19 | 0 |
| 参政党 | 15 | 0 | 15 |
| 日本共産党 | 7 | 0 | 7 |
| れいわ新選組 | 5 | 0 | 5 |
| 日本保守党 | 2 | 0 | 2 |
| 沖縄の風 | 2 | 0 | 2 |
| チームみらい・無所属の会 | 2 | 2 | 0 |
| 社会民主党 | 2 | 0 | 2 |
| 各派に属しない議員 | 6 | 3 | 2 |
出典
- 参議院 議案情報(第221回国会 衆法第27号・議案要旨)
- 参議院 本会議投票結果(2026-07-24)
- 衆議院 議案本文情報(第221回国会(特別会) 衆法第27号・提出時の法律案の理由)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・丹羽秀樹委員長の報告)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・横沢高徳委員長の報告)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・阿部司議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・横田光弘議員の討論)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・岡崎太議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・高山聡史議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・高山聡史議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・伊佐進一議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・早稲田ゆき議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・向山好一議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・向山好一議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・日野紗里亜議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 本会議 2026-07-15・吉川里奈議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・谷浩一郎議員の討論)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・神谷宗幣議員の討論)
- 国会会議録(衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 2026-07-15・辰巳孝太郎議員の討論)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・岸真紀子議員の討論)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・足立康史議員の討論)
- 国会会議録(参議院 本会議 2026-07-24・司隆史議員の討論)
更新の記録
- 2026年11月2日 更新:「なぜ出されたか」「だれに関係するか」「国会での議論」を足しました(国会会議録と法律案の理由をもとに、AIが書き、別の会社のAIとプログラムで確かめました)。