せいじのまど

健康保険法等の改正

法律が成立2026年5月29日第221回国会(特別会)閣法第25号提出 内閣令和8年法律第31号2026年6月5日 公布

正式名:健康保険法等の一部を改正する法律

持続可能な医療保険制度に向け、一部保険外療養、出産給付の創設、国保保険料軽減の拡充等を行う法律。

主な内容

  • 要指導医薬品・一般用医薬品と代替性が特に高い薬剤を用いた療養等で厚生労働大臣が定めるものを、費用の一部を保険給付の対象外とする「一部保険外療養」とする。金融機関等は上場株式等の配当等を後期高齢者医療広域連合に報告する。
  • 出産に対する保険給付として分娩費と出産時一時金を創設する。内閣総理大臣は市町村妊婦健診の望ましい基準と標準額を定め、市町村・病院等はこれを勘案するよう努める。
  • 国民健康保険の均等割保険料等の5割軽減の対象を、未就学児から18歳到達後最初の3月31日以前の被保険者まで拡充する。高額療養費は長期療養者の家計への影響を考慮して政令で定める。
  • 地域医療介護総合確保事業に医療機関の業務効率化・勤務環境改善の支援を追加し、計画を作成した病院等を認定する。全国健康保険協会への国庫補助の控除額を令和8〜10年度に各年度約500億円引き上げる。
  • 施行は一部を除き令和9年4月1日。

なぜ出されたか

内閣は、持続可能な医療保険制度の実現に向け、必要な保険給付等の適切な実施と、世代間及び世代内での負担の公平性の確保を図るためとしている。そのため、出産に係る給付体系の見直し、一部保険外療養の創設、国民健康保険における子どもの均等割保険料等の軽減の拡充、後期高齢者医療における金融所得の保険料等への勘案などの措置を講じるほか、医療機関の業務効率化と勤務環境改善の取組に係る措置を講じる必要があるとしている。

だれに関係するか

・要指導医薬品・一般用医薬品との代替性が特に高い薬剤を用いた療養等を受ける患者(一部保険外療養) ・金融機関等(上場株式等の配当等に関する事項の後期高齢者医療広域連合への報告) ・出産する人(分娩費、出産時一時金の創設) ・市町村、病院等(妊婦健診の望ましい基準・標準額の勘案) ・国民健康保険の18歳に達する日以後の最初の3月31日までの被保険者(均等割保険料等の5割軽減) ・長期継続療養者(高額療養費の政令で家計への影響を考慮) ・病院等(業務効率化・勤務環境改善計画の認定) ・全国健康保険協会(国庫補助の控除額の引上げ)

国会での議論

衆議院厚生労働委員会は4月9日の本会議での趣旨説明後に付託を受け、15日から質疑、21日に参考人の意見聴取、24日に高市内閣総理大臣に対する質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数で原案のとおり可決し、附帯決議を付した。参議院厚生労働委員会では、参考人の意見聴取のほか、医療保険制度における負担の公平性、一部保険外療養の対象範囲、出産に関する新たな給付の課題、高額療養費制度の在り方などについて、内閣総理大臣も出席して質疑が行われた。立憲民主・無所属と公明党が、高額療養費の支給要件等を定める際の考慮事項の追加などを内容とする修正案を提出した。討論では立憲民主・無所属と公明党が修正案に賛成・原案に反対、日本共産党とれいわ新選組が修正案と原案に反対した。修正案は否決され、原案どおり多数で可決し、附帯決議を付した。

  • 【賛成】中道改革連合・無所属:中道改革連合・無所属は、国民健康保険料の均等割軽減の対象が高校生世代まで拡大し子育て世帯の負担が下がること、後期高齢者医療保険料への金融所得の勘案が世代内の不公平を是正し現役世代の保険料低減につながること、妊娠・出産への支援が強化されることを理由に賛成した。
  • 【賛成】参政党:参政党は、少子高齢化などの構造的課題に直面する医療保険制度を持続可能にし、世代間・世代内の負担の公平性を確保するものであること、分娩の標準的な費用の設定と現物給付化が妊婦の経済的・心理的負担の軽減につながること、金融所得の勘案が世代内の不公平を是正することを理由に賛成した。
  • 【賛成】チームみらい:チームみらいは、持続可能な医療保険制度の実現に向けた重要な改正であり、標準的な出産に妊婦の自己負担が生じない仕組みを構築する方向性を評価するとして賛成した。一方、十分なデータと定量的根拠に基づかない高額療養費の自己負担引上げには反対とし、制度改正の影響の継続的な把握と公表を求めた。
  • 【賛成】国民民主党・新緑風会:国民民主党・新緑風会は、現役世代の保険料負担の上昇を抑えつつ持続可能な医療保険制度を目指すものであること、出産費用の負担軽減と国民健康保険の子どもの均等割保険料の軽減拡充が図られること、一部保険外療養の創設がセルフメディケーションの推進に資することを理由に賛成した。
  • 【反対】日本共産党:日本共産党は、一部保険外療養の創設で患者負担が増え、低所得者を中心に必要な医療の妨げになること、対象が薬剤以外にも及び得る無限定な規定で、国会に諮らずに拡大できること、協会けんぽへの国庫補助を3年間に限り毎年500億円削ることを理由に反対した。
  • 【反対】立憲民主・無所属:立憲民主・無所属は、性格の異なる多くの改正項目を一つにまとめたことが丁寧な審議の妨げになったこと、高額療養費について長期療養者への配慮の明確化だけでは不十分で見直しの検討過程にも問題があったこと、一部保険外療養の対象薬剤の範囲が広げられる懸念があることを理由に反対した。
  • 【反対】公明党:公明党は、金融所得の勘案や出産支援などは評価しつつ、高額療養費の見直しが十分な実態把握や当事者参加のないまま進められ、令和8年度と令和9年度の2段階の見直しが既定路線化されていること、一部保険外療養で市販薬を使えない患者にも負担を求める可能性を否定していないことを理由に反対した。

会派ごとの賛否(参議院 2026年5月29日)

賛成 166票・反対 79票

会派所属賛成反対
自由民主党・無所属の会1011000
立憲民主・無所属40040
国民民主党・新緑風会25250
公明党21021
日本維新の会19190
参政党15150
日本共産党707
れいわ新選組505
日本保守党220
沖縄の風202
チームみらい・無所属の会220
社会民主党202
各派に属しない議員632

出典

更新の記録

  • 2026年11月2日 更新:「なぜ出されたか」「だれに関係するか」「国会での議論」を足しました(国会会議録と法律案の理由をもとに、AIが書き、別の会社のAIとプログラムで確かめました)。