せいじのまど

所得税法等の改正

法律が成立2026年3月31日第221回国会(特別会)閣法第3号提出 内閣令和8年法律第12号2026年3月31日 公布

正式名:所得税法等の一部を改正する法律

物価高への対応等の観点から、所得税をはじめ国税に関する改正を一体として行う法律。

主な内容

  • 2年ごとに物価上昇に連動して所得税の基礎控除等を引き上げる。基礎控除は合計所得金額2,350万円以下の人の控除額を4万円引き上げ、給与所得控除の最低保障額を65万円から69万円に引き上げる。基礎控除の特例の上乗せ額を合計所得金額489万円以下で42万円まで引き上げ、給与所得控除の最低保障額を5万円上乗せする特例を創設する。
  • 高い生産性の確保に特に資する設備に即時償却又は7%・4%の税額控除ができる税制を創設する。大企業向け賃上げ促進税制の廃止、研究開発税制で40%・50%の税額控除ができる戦略技術領域型の創設、一定の既存住宅の住宅ローン控除の借入限度額の引上げ等、租税特別措置を見直す。
  • 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置で、基準所得金額からの控除額を1億6,500万円に引き下げ、税率を30%に引き上げる。防衛力強化の財源として所得税額に税率1%の防衛特別所得税を創設し、復興特別所得税の税率を1%引き下げる。
  • 本法施行に伴う令和8年度の租税減収見込額は約5,760億円。期限が到来する租税特別措置の延長、既存措置の整理合理化等も行う。
  • 施行は別段の定めがあるものを除き令和8年4月1日。

なぜ出されたか

内閣は、物価高への対応としての所得税の基礎控除等の引き上げ、就業調整への対応と中低所得者への配慮からの基礎控除等の特例見直しと給与所得控除の特例創設、強い経済の実現に向けた特定生産性向上設備等の特別償却・税額控除制度の創設、税負担の公平性確保のための特定の基準所得金額の課税の特例の見直し、防衛特別所得税の創設などを一体として講ずる必要があるためとしている。

だれに関係するか

所得税の納税者(給与所得者、合計所得金額の水準により基礎控除の特例を受ける人、極めて高い水準の所得がある人を含む)、住宅ローン控除の対象者、設備投資や研究開発を行う企業など。

国会での議論

衆議院財務金融委員会は他の3法律案とあわせて審査し、討論・採決の結果、賛成多数で原案のとおり可決すべきものと決し、附帯決議を付した。参議院財政金融委員会では、防衛特別所得税創設の妥当性などについて質疑があった。立憲民主・無所属、公明党、参政党が、防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の税率等を改める規定の施行期日を別に法律で定める日とすること等を内容とする修正案を提出し、内閣は反対の意見を述べた。修正案は賛成少数で否決され、本法律案は多数で原案どおり可決すべきものと決定し、附帯決議が付された。

  • 【賛成】国民民主党・無所属クラブ:国民民主党・無所属クラブは、同党が訴えてきた課税最低限の178万円への引き上げなど手取りを増やす政策や大胆な設備投資減税が採用され、日本の成長に寄与する税制改正が盛り込まれたとして賛成した。課税最低限の恒久化や年少扶養控除の復活も求めた。
  • 【反対】中道改革連合・無所属:中道改革連合・無所属は、中東情勢の緊迫化で家計や企業の負担増が懸念される中、防衛力強化の財源は防衛特別法人税やたばこ税の見直しで確保できるのに所得税に1%を上乗せする防衛特別所得税を創設すること、インボイス経過措置の縮減を理由に反対した。
  • 【反対】参政党:参政党は、賃上げを阻んできた最大の要因は消費税だとし、消費税の大幅減税やインボイス制度の廃止、法人税を含む税体系の抜本的見直しが必要なのに本法案はそれと程遠いこと、防衛力強化の財源を所得税1%の付加税で賄うことに賛同できないことを理由に反対した。
  • 【反対】チームみらい:チームみらいは、ひとり親控除の所得要件を500万円から1000万円に引き上げる案が実現せず、所得が500万円を超える一人親が支援を受けられないこと、設備投資促進税制は平年度4100億円の減収に対し政策効果の検証体制が不十分なことを理由に反対した。
  • 【反対】立憲民主・無所属:立憲民主・無所属は、防衛力強化の財源は防衛特別法人税やたばこ税の増税で確保できるのに、復興特別所得税の枠組みを流用して防衛特別所得税を創設し家計負担を増やすこと、インボイス経過措置の縮減など中小・小規模事業者への支援の不十分さを理由に反対した。
  • 【反対】公明党:公明党は、基礎控除の引き上げなど評価できる内容もあるとしつつ、防衛特別所得税の創設は国民的理解が得られておらず、大幅減税と増税を同時に行う政策の整合性が取れていないこと、インボイス経過措置の縮減など中小企業等への配慮の不十分さを理由に反対した。
  • 【反対】日本共産党:日本共産党は、防衛特別所得税は大軍拡計画の財源の一部で憲法9条に反すること、消費税減税が盛り込まれずインボイス経過措置の見直しでフリーランス等の負担が重くなること、法人税率引き上げを見送り大企業優遇税制を温存していることを理由に反対した。
  • 【反対】社会民主党:社会民主党は、防衛特別所得税は将来の税率引き上げの可能性が否定されず軍事費の恒久財源となること、法人税率の引き上げが見送られたこと、基礎控除の特例引き上げなどは課税ベースを縮小させ再分配機能を低減し2年後の予見可能性もないことを理由に反対した。

会派ごとの賛否(参議院 2026年3月31日)

賛成 148票・反対 96票

会派所属賛成反対
自由民主党・無所属の会1011000
立憲民主・無所属40040
国民民主党・新緑風会25250
公明党21021
日本維新の会19190
参政党15015
日本共産党707
れいわ新選組504
日本保守党202
沖縄の風202
チームみらい・無所属の会211
社会民主党202
各派に属しない議員632

出典

更新の記録

  • 2026年11月2日 更新:「なぜ出されたか」「だれに関係するか」「国会での議論」を足しました(国会会議録と法律案の理由をもとに、AIが書き、別の会社のAIとプログラムで確かめました)。